畜産農業環境ビジネス

概要

畜産は、世界の食物エネルギーとたんぱく質の供給に必要かつ重要な貢献をしている。一方、その貢献を最大限に引き出すためには、家畜の排せつ物に対する注意深い管理も必要である。
家畜排せつ物は窒素等の肥料成分や有機物を多く含めて堆肥として利用することは古くから行われており、現在は液状コンポスト(液肥)やバイオエネルギーに変換できる有用な資源である。
しかし、最近一部の地域では環境容量を超過して各種家畜糞尿の大半は処理されずそのまま河川投棄あるいは土壌へ散布され雨などで河川に流失される実情であり、深刻な環境汚染問題を引き起こしている。
一方、家畜糞尿の資源化を通じて肥料の利用は、糞尿内に存在する病原性微生物による家畜の疾病や農産物に対する2次汚染および消費者の安全問題を持っている。
したがって、家畜糞尿の管理は環境および資源的要素だけではなく、家畜の飼料および畜産農家内糞尿管理から処理工程、運送、農地還元技術まで全過程にわたって衛生・防疫的側面を徹底的に考慮しなければならない。

TAOシステム

TAO(ThermophilicAerobicOxidation)System:高温好気酸化システム

1990年代から研究を行ったTAO-Systemのエジェクター・エアレーション(曝気)方式は、発酵槽内の溶存酸素量を極大化させることで、従属微生物を短期間に増殖させる。
この微生物の好気的代謝過程から生成する熱エネルギーと攪拌熱によって外部からの熱源供給がなくても醗酵槽の内部温度を高温(55~65℃、1~3日以内)に維持ができ、無菌消化処理された有機微生物液肥を生産する事が可能である。(好気的代謝過程:溶存酸素の存在のもとに、さまざまな好気性微生物が関与して微生物を生育、増殖する微生物させる。有機性物質、アンモニア性窒素、臭気、鉄などを酸化分解し、除去する方法である。)
高温の条件で運用する事で糞尿内の病原性微生物等を不活性化させ、処理過程の中で危害要素の除去が可能である。さらに、高温好気性微生物の増殖を促進することで悪臭の原因である揮発性脂肪酸(VFA)と硫化水素(H₂S)などが効率的に分解されるため、利用性と安全性が確保できる清浄発酵液(有機微生物液肥)の生産が可能である。
悪性病原菌を完全に除去した有機微生物液肥は、作物の成長を促進させるだけではなく、土壌改良に効果的である。作物成長促進は、米、ジャガイモ、キャベツ、リンゴなど様々な作物・果実で立証されている。



TAOSystem利用から期待できる地域農・畜産業の基本循環構造




TAOSystemの各部名称及び工程図




TAOSystemの運転条件(豚糞尿の目安)

•反応時間(HRT):1~3日
•反応温度:約20℃→50∼55℃以上(1~3日間、高温微生物反応条件、病原菌や雑草の種子を死滅)
•エアレーション(曝気)方式:エジェクター(有機物の分解が促進)
•酸度:pH6.8~7.2→pH9~10(1~3日間)→中性(有機微生物液肥の活性化槽)
•悪臭物質分解:VFAs,H₂Sの分解及びアンモニア・ストリッピング(pH9.2)
•泡の発生防止:プロペラ・タイプの物理的除去装置
•処理液の利用
-有機微生物液肥として農地還元
-スラリーピット(糞尿の貯留槽)に再循環して悪臭低減
-環境負荷(有機物質など)を最小化して下水処理と連係
•有機微生物液肥のメリット
-高温50∼65℃で病原菌や雑草の種子を死滅
-悪臭の低減
-化学肥料の使用量低減
-化学肥料連の使用による塩類集積防止
-土壌改良増進(土壌の物理化学性)
-作物生育増進(農家利益増大)
-自然循環農業
•Systemのメリット
-省エネー
-運転が容易
-小さい面積
-短期間集中発酵
-既存処理および貯留槽と連携可能



豚糞尿処理の際、TAO System内部温度変化



豚糞尿処理の際、TAOSystem内部液の病原菌やウイルスの不活性化



豚糞尿処理の際、TAOSystem内部液の理化学的性状の変化



TAOSystemの適用事例-韓国








TAOSystemの適用事例-中国



TAOSystemの適用事例-ベトナム(NINHBINH)

  ・TAO-System 1m3/day パイロット・プラントの設置



 ・TAO-System 1m3/day パイロット・プラントの工程図




 ・TAO-System 1m3/day から生産された有機微生物液肥の成分分析



 ・TAO-System 1m3/day から生産された有機微生物液肥の作物テスト



・TAO-System 1m3/day から生産された有機微生物液肥の「パイナップル」と「ジャガイモ」作物テスト



 •レファレンス

 •Word添付ファイル1.Geo-SET技術資料の内容すべて

ビジネス

•TAOSYSTEMは主に集約的農・畜産業を行っている農村地域を対象としており、システムを使用する事で家畜糞尿の資源化およびビジネスモデル構築が可能になる。
•効果
-農村地域社会の産業特性を考慮して、地域活性方案の模索と資源循環社会の構築が可能、
-さらに、小規模の循環形農村社会の定着と活性化を求める。


•現在、当社はTAO SYSTEMの活用方策について、東南アジア中心に海外事業およびプロジェクトを展開しております。
•また、国内の地域農畜産業の活性化およびブランド化や地域社会の改善に向けた環境事業などを提案しております。

―畜産農家+TAO SYSTEM(5~20ton)+有機微生物液肥の生産+農地還元コンサル
―畜産農家(従来の貯留施設)+移動式TAO SYSTEM(1ton)+有機微生物液肥の生産+農地還元コンサル
―メタン発酵液+TAO SYSTEM(2次好機性処理)+有機微生物液肥の生産+農地還元コンサル
―家畜ふん尿+ TAO SYSTEM+環境負荷物質低減+汚水処理施設連携